新大学入試素案発表
<新大学入試>記述式採用へ 思考力重視で20年度から
毎日新聞6月18日(木)11時21分配信
文部科学省は6月18日、大学入試改革の柱として制度設計中の二つの新テストの素案を明らかにした。
現行の大学入試センター試験に代わって2020年度から実施する「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は、「思考力」を重視するために問題文の長文化や記述式問題の採用を検討する。2019年度導入を目指す高校生の基礎知識の定着度をみる「高校基礎学力テスト(仮称)」は、国語、数学、英語の3教科でスタートさせるという。
両テストとも現在の中学1年生から対象になる。文科省が設置している専門家会議が素案をたたき台として8月をめどに中間報告をまとめる。
新テストの導入は昨年12月に文科相の諮問機関「中央教育審議会」が答申した。「学力評価テスト」は難関・中堅大学のような「選抜性が高・中程度」の大学入試で活用。「基礎学力テスト」は入試が主目的ではないが、定員割れしたり学力不問だったりする「入試が機能していない」大学が入学選抜の参考資料に活用することも想定する。文科省は制度設計するため今年2月に専門家会議を設置した。素案は18日午前の専門家会議で示された。
素案などによると、「学力評価テスト」は大学入試の1次試験の位置づけ。試験科目は現在のセンター試験の30科目から減らした上で、どんな力を重視するのかを科目ごとに明確にした問題構成にする。例えば、地理歴史・公民なら日本史と世界史の関連づけなど「歴史的思考力」を重視。英語は「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能をみるため別日程での実施を検討する。情報活用力をみる新科目も検討する。
思考力を判定するため、「問題文の長文化」「教科を横断するような問題」「記述式問題」を採用する。
「基礎学力テスト」は高校2、3年生を対象に国数英の3教科で始める。理科と社会は現在改定作業中の新学習指導要領の実施に合わせ、2023年度以降に導入する。主に高校1年で履修する範囲の基礎問題を中心に出題する。
結果は10段階以上のレベル別に示す。段階を示すことで「次のレベルを目指そう」という学習意欲を喚起し、学力の底上げを図るという。希望参加式で、夏と秋の年2回実施する。
両テストとも受験者はパソコンを使って解答する方式を検討する。
ただ、両テストとも受験者が数十万人規模となる上、それぞれ年複数回実施するとなれば、問題作成や採点が大きな課題だ。効率化にはパソコンを使ったテスト方式が不可欠で、今後はパソコンの整備費を確保できるかや採点のための技術的な問題をクリアできるのかが焦点になる。文科省幹部は「今の技術レベルならできる。受験者の少ない科目から試行導入しながら可能性を探る」と話している。
<本多・補足>
東京オリンピックイヤーである2020年は教育会においても大改革元年となる。
1.小学校英語教科化:小5・小6で週に3時間→私立中学入試に英語が付加される。
2.小学校英語必修化;小3・小4で週に1~2時間
3.中学校における英語の授業を原則英語で行うよう指導要領で定められる。※2013年より高校英語を原則英語で行うよう定められ、進学校を中心に実践され始めている。
4.大学入試の英語は、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能を均等に評価するテストにかわる。外部(業者)テストの導入も検討されている。現在上智大学の吉田研作先生を中心に作成された「TEAP」は最良のモデルと言われている。
私が理事を務める「NPO教育支援協会」の代表理事である吉田博彦氏は中教審の専門員でもあるが、本年4月より「NPO全国検定振興機構」の代表理事に就任し、文科省の進める大学入試改革について広く意見を求め、文科省に提言すべく活動を開始した。
同機構では、「高大接続・大学入学者選抜制度改革 全国高校生 100 人委員会 人委員会 」を立ち上げ、全国9地区を設定し100人の高校生を招集し、高校生の望む大学入試の在り方について熟議を重ね、中教審・文科省に提言する予定である。東海地方においては私が代表理事を務める「NPO教育支援協会」が業務を担当する予定である。文科省主体で決定してきた大学入試であったが、本改革においては、幅広い層の高校生の意見も反映させる必要があると考える。
いずれにしても、時代の変遷とともに、戦後続いてきた文科省中心の教育制度の在り方が少しずつ変わろうとしていることは事実だ。これからの時代が、「コミュニケーション能力のある人材」「思考力や創造力のある人材」「自己決定能力のある人材」を求めるのであれば、大学入試においてもそれらを測定できる入試に変えなければならないのは当然である。
いよいよ(ようやく)教育は変わっていく。
投稿日:2015/06/19