ハリーポッター英語版のレベル
片岡です。前回、ハリーポッター(Harry Potter)シリーズについて書きましたが、その続きです。
中高生、できれば中学生のうちにハリーポッターに取り組ませたいと思っているのですが、やはり問題はレベルでしょう。ネット上ではいろいろな意見が見つかるのですが、具体的なものはあまり見当たらないので、以下に少し引用して考察したいと思います。
以下は、第1巻「賢者の石」の第7章 組み分け帽子(Sorting Hat)の一節で、組み分けってどんなことをさせられるんだろう、とハリーが不安に思っている場面です。日本語で読まれた方なら、英文を読むと場面が浮かぶのではないでしょうか。
"How exactly do they sort us into houses?" he asked Ron.
"Some sort of test, I think. Fred said it hurts a lot, but I think he was joking."
Harry's heart gave a horrible jolt. A test? In front of the whole school?
But he didn't know any magic yet - what on earth would he have to do? He hadn't expected something like this the moment they arrived. He looked around anxiously and saw that everyone else looked terrified too.
No one was talking much except Hermione Granger, who was whispering very fast about all the spells she'd learnt and wondering which one she'd need.
Harry tried hard not to listen to her.
"How exactly do they sort us into houses?" he asked Ron.
これはHow do you go to school? と同じ中1レベルの英文です。ストーリーを知っていれば、sort、housesの意味は推測できるでしょう。exactlyは知らなくても文意は分かりますし、第1巻に20カ所くらい出てくる単語なので、すぐに覚えるでしょう。
"Some sort of test, I think. Fred said it hurts a lot, but I think he was joking."
これも文法レベルは高くありません。sortはkind(種類)の類義語、hurt、jokeは中学~高校初級レベルの基本語です。
Harry's heart gave a horrible jolt. A test? In front of the whole school?
jolt「振動・動揺」という単語を私は知りませんでした。アルクさんのレベル別語彙リストによると12段階中の10の難度で「英文雑誌を楽しめる英単語」というレベルですから、私くらいの英語力ではカバーできていない英単語もよくあります。ただ、別の箇所にも出てきますし、他の小説を読んでいたらそこにも出てきたので覚えました。ちなみにhorribleはレベル3、中学の教科書には出てきにくいでしょうが初級レベルの単語です。知らなくても第1巻にあちこち出てきますし、horror「ホラー」の関連語ですから何となく分かるかも知れません。in front of は小学校英語でも出てくるレベルですし、whole「全体の」はレベル2です。
But he didn't know any magic yet - what on earth would he have to do?
前半は中1レベルですし、推測が簡単です。後半は、What will he have to do?という中2レベルの基本文法が過去時制の疑問詞疑問文になっているだけですから難しくはありません。on earth「一体全体」もよく出てくるのでそのうち覚えますし、付け足しのようなものなので重要ではありません。
He hadn't expected something like this the moment they arrived.
expectはレベル2、中学で言えば発展レベル、高校なら超基礎レベルの単語です。hadn't expectedは過去完了です。小説は会話文以外のいわゆる地の文では基本的に過去時制が多くなりますから、過去の一時点から見てさらに以前のことを表すために過去完了が多く使われます。過去完了は高校生が混乱しやすい文法項目ですが、読んで分かる程度ならすぐに慣れます。the moment ~がas soon as ~と同じく「~するとすぐ」という接続詞的な使い方であることはいま調べて知りましたが、文脈から推測も可能でしょう。something like this などは簡単ですからすぐに覚えます。
He looked around anxiously and saw that everyone else looked terrified too.
文法的には難しくありません。that以下が「~ということ」という名詞節になることは中2くらいで学びます。lookについて二通りの使い方、すなわち Look at the blackboard.における「見る」 という使い方と、You look happy today.における「~のように見える」という使い方が同時に出てくるので、中学生にはいい英文でしょう。anxiouslyとterrifiedも第1巻に数回ずつ出てきますし、とにかくビクビクしている様子くらいは推測できるでしょう。
No one was talking much except Hermione Granger, who was whispering very fast about all the spells she'd learnt and wondering which one she'd need.
単語は難しくありません。except「~を除いて」も高校初級レベルです。whisper「ささやく」も基本単語、spell「呪文」はハリーポッター的に超基本語ですから問題ありません。Hermione Granger, who was --- の部分は高校でごちゃごちゃと説明を受ける関係代名詞の非制限用法なのですが、読みのレベルとしては「ちなみに彼女は」くらいで理解すれば済みます。she'd learntは過去完了でshe had learnt、she'd needはshe will need が未来形が時制の一致でshe would needになったものというくらいは中高生に対してはフォローが必要でしょう。
この場面のハーマイオニーは入学直後の彼女の「いかにも」な感じがして笑えます。日本語訳と比べてみると、英語の方がやはり情景が浮かびやすく、より笑える気がします。「誰もそんなに話をしていなかった/ハーマイオニー以外は/彼女はすごく早口でささやいていた/覚えた呪文のすべてについて/どれが必要だろうかと。」という感じで、みんなが無口になっている中、ハーマイオニーだけがぶつぶつ復習をしている様子が、文の最初の方で分かるからだと思います。日本語の場合、日本語版の翻訳がそうであるように、「早口で呟いていた」が述語として文末に来てしまいますからね。
Harry tried hard not to listen to her.
これは中学生なら発展レベル、高校なら超基礎レベルの文法です。try to ~「~しようとする」をまず学び、「~しないようにする」は not を不定詞の前に置いて try not to ~とする、と学ぶ箇所です。こういう文脈の中で身につければより身につけやすいですね。
以上の段落が第1巻の平均的な難易度ではないかと思います。語彙を調べる負担を減らすようなフォローを考え、読解の核となる英文法を解説すれば、高校生はもちろん、中学生でも意欲がある子なら、少しずつ楽しく取り組めるのではないかと思っています。
以上です。


































